九州の方言で”ごたる”という言葉聞いたことはありませんか。
“ごたる”は、九州にある熊本県内で使われる方言で、熊本県内にある人吉球磨の方言としても使われます。
“ごたる”を省略して、”ごたっ”と言われることもあります。
今回は、人吉球磨弁として”ごたる”について意味や使い方についてご紹介していきます。
最初に断っておきますが、この記事は、かなりマニアックな記事になってます。軽い気持ちで読んでもらえれば、ありがたいです。
“ごたる”の意味
“ごたる”の意味：〜ようだ、〜みたい
“ごたる”は、「〜ようだ、〜みたい」という意味です。
“ごたる”を省略して”ごたっ”ということもあります。
私は”ごたっ”をよく使います。
なかなかこの標準語訳だけでは、分かりづらいと思うので、具体例を交えながら、意味を解説していきます。
意味1. 〜に似てる
“ごたる”は基本的にこの「（何かに）似ている」の意味になります。
例えば、写真みたいな絵をみて、”こら、写真のごたっ”ということができます。
意味は、「これは、写真みたい！」です。
ちょっと驚いた感じも出てますね。
記事の最初で書いた「〜ようだ、〜みたい」という意味には、こういう意味が含まれています。
それだけではありません。まだ続きます。↓
意味2. 〜っぽい
“ごたる”の「〜みたい」という意味には、「〜っぽい」のような意味も含まれています。
例えば、場所Aと場所Bでそれぞれ人が集まって作業していたときに、場所Aで「場所Bで手が空いた人集まって〜」と言ったみたいな状況があるとします。
でも、思った人数が集まらなかったので、場所Bの様子を見に行くと、忙しそうでした。
その状況を、場所Aの人に伝えるときに、”忙しかごたっ”を使うことができます。
意味は、「忙しいみたい（忙しいっぽい）」です。
例えが分からん…
これに似たような意味で、人吉球磨弁”げな”があります。
“げな”は、「〜らしいよ」という意味です。
先ほどの例でいくと、様子を見に行ったときに、場所Bの人から「ごめん、忙しいから場所Aにいけない」と言われたら、場所Aに戻ったときに、”忙しかげな”と伝えることができます。
反対に、様子を見に行って、誰から何を言われたわけじゃないけど、「忙しそうだな」と感じたら、”忙しかごたっ”と言うことができます。
“げな”の意味をもっと詳しく知りたいですか？そんな方は、こちら↓をチェック
なんかよく分からんけど、聞いたことは”げな”、自分で感じたこと”ごたる”ってことね。
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意味3. 〜したい
“ごたる”は、”行こごたっ”という形で使うこともできます。
今まで解説した意味から考えると、「行くようだ、行くみたい」となりますが、この意味に関しては、少し異なります。
“行こごたっ”の意味は、「行きたい」です。
例えば他にも、”たぶーごたっ”で「食べたい」、”参加しおごたっ”で「参加したい」になります。
じゃあどういうときに、この「〜したい」という意味になるのかということなんですが、おそらく「食べる」などの「動詞」の後に”ごたる”がつくと、「〜したい」という意味になりそうです。
意味の使い分け
今まで3つの意味について解説してきましたが、正直どういうときにその意味になるのかということが分からないですよね。
私も文脈からしか、意味を判断してないです。
でも、もしかしたら、何か法則があるかもしれない。
とのことで、意味の使い分けは、（たぶん）こういう感じなんじゃないかなということをまとめました。↓
- 「名詞」+”ごたる”=「〜に似てる」
- 「形容詞」+”ごたる”=「〜っぽい」
- 「動詞」+”ごたる”=「〜したい」
名詞、形容詞、動詞は、それぞれ次のような意味です。
名詞は、「りんご、果実」のようなモノや事柄を表すものです。
形容詞は、「嬉しい、悲しい」などの感情などを表すものです。
動詞は、「食べる」や「参加する」などの動きを表すものです。
※私の認識としての意味を書いていますが、もしかしたら若干認識のズレがあるかもしれません。
おそらくこんな感じのときに、それぞれの意味になるような感じがします。
まとめてあるけど、余計分からん…
否定の形
これまでの解説で、”ごたる”について3つの意味があるんだなということは、お分かりいただけたかなと思います。
その上で、”ごたる”を否定の形にすると、次の3つの言い方があります。
- （名詞）〜じゃなかごたっ
- （形容詞）〜なかごたっ
- （動詞）〜ごたなかっ
それぞれ3つの意味に対応しています。
一つ一つ丁寧に見ていきましょう。
（名詞）〜じゃなかごたっ
“〜じゃなかごたっ”は、前章の「意味1」で解説した「〜に似てる」という意味に対応しています。
“〜じゃなかごたっ”の意味は、「〜じゃないみたい」です。
例えば、”絵じゃなかごたっ”というふうに使います。
意味は、「絵じゃないみたい！」です。
使う時には、「名詞」+”〜じゃなかごたっ”の形になります。（たぶん）
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（形容詞）〜なかごたっ
“〜なかごたっ”は、前章の「意味2」で解説した「〜っぽい」という意味に対応しています。
“〜なかごたっ”の意味は、「〜ないみたい」です。
例えば、”忙しくなかごたっ”というふうに使います。
「忙しくないみたい」という意味です。
使う時には、「形容詞」+”〜なかごたっ”の形になります。（たぶん）
（動詞）〜ごたなかっ
“〜ごたなかっ”は、前章の「意味3」で解説した「〜したい」という意味に対応しています。
“〜ごたなかっ”の意味は、「〜したくない」です。
例えば、”たぶーごたなかっ”というふうに使います。
意味は、「食べたくない」です。
使う時には、「動詞」+”〜ごたなかっ”の形になります。（たぶん）
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疑問の形
“ごたる”を疑問の形にすると、”ごたっど？”になります。
“ごたる”の否定の形を解説したときには、それぞれ3つの意味ごとに使い分けがありますよというお話をしました。
この疑問の形については、そのような使い分けはありません。
どの意味でも同じ”ごたっど？”使うことができます。
例えば、次のような形になります。
- （名詞）わたしんごたっど？
- （形容詞）寂しかごたっど？※
- （動詞）くおごたっど？
それぞれについて、一つ一つ解説していきます。
（名詞）わたしんごたっど？
“わたしんごたっど”は、冒頭の「意味1」で解説した「〜に似てる」という意味に対応しています。
“わたしんごたっど？”は、「私みたいでしょ？」という意味です。
アイドルなどの美男美女をみて出てくる言葉ですね。
名詞の後に”ごたっど？”がつく場合、名詞と”ごたっど”の間に「ん」がつきます。
なので、この例でも「ん」がついています。
（形容詞）寂しかごたっど？※
“寂しかごたっど？”は、冒頭の「意味2」で解説した「〜っぼい」という意味に対応しています。
“寂しかごたっど？”には、※をつけていますが、それは”寂しかごたっど？”が文字として書くことはできますが、日本語としてあんまり使わないからです。
直訳すると、「寂しいみたいでしょ？」になりますが、あんまり使う場面が想像できないんですよね。
なので、形容詞の後に”ごたっど？”をつけることもできますが、実際に使うことは、ほとんどないんじゃないかと思います。
（動詞）くおごたっど？
“くおごたっど？”は、冒頭の「意味3」で解説した「〜したい」という意味に対応しています。
“くおごたっど？”は、「食べたいでしょ？」という意味です。
目の前に美味しそうなおやつを置いておきながら、もらえないときに言われる言葉ですね。
「食べたい」という意味の”くおごたっ”に、「ど」をつけるだけなので、お手軽に疑問の形にすることができます。
他にも何かお探しですか？
他の人吉球磨弁について、下記の記事で一覧にまとめています。
気になった方言をチェックしてみてください。
まとめ
この記事では、”ごたる”の意味や使い方についてご紹介しました。
“ごたる”には、色んな意味があって、使いこなすまでに時間がかかるかもしれません。
ただ、これをマスターすれば、「お、この人は熊本県出身かな」と思われるかもしれません。
ぜひ、たくさん使ってみてください。
