日常会話をしていて、”○○ばい”や”○○たい”という方言を聞いたことはありませんか。
“ばい”と”たい”は、どちらも九州内にある熊本県内で使われる方言です。
この記事では、”ばい”と”たい”の違いについてご紹介していきます。
熊本県内にある人吉球磨地方でも使われる方言なので、この記事では人吉球磨弁としてご紹介します。
人吉球磨地方について、もっと詳しく知りたい方は、下のリンクから。
“ばい”と”たい”の意味
“ばい”と”たい”の違いに入る前に、まずそれぞれの意味をご紹介します。
“ばい“と”たい“は、どちらも「~だよ」という意味になります。
どちらも文末に使われる言葉で、例えば名詞や動詞、形容詞など、言葉の種類に関係なく使うことができます。
“ばい”や”たい”をくっつけられない言葉を探すのが難しいくらいの方言です。
名詞、形容詞、動詞は、それぞれ次のような意味です。
- 名詞は、「りんご、果実」のようなモノや事柄を表すもの
- 形容詞は、「嬉しい、悲しい」などの感情や状態などを表すもの
- 動詞は、「食べる、参加する」などの動きを表すもの
※私の認識としての意味を書いていますが、もしかしたら若干認識のズレがあるかもしれません。
“ばい”と”たい”の違い
ここからは、”ばい”と”たい”の違いについて、ご紹介していきます。
とここで「これが”ばい”と”たい”違いです」と言いたいところですが、なかなかズバッとコレ!というものをお伝えすることは正直難しいかなと思ってます。
というのも、”ばい”と”たい”は、熊本県民なら自然と使えているものですが、それを県民以外の方に伝えることがすごく難しいからです。
なので、考えました。
何個か具体例出したら、何かしら決まりごとが見えてくるかもしれないと思いました。
そんな思いで、”ばい”と”たい”にくっつけた場合の具体例を挙げていってみます。
しばしの間、お付き合いいただければと思います。
“よか”をくっつける
“ばい”と”たい”にくっつけるトップバッターは、”よか”で、意味は「良い」です。
名詞、形容詞、動詞でいうと、「形容詞」にあたります。
これは、熊本県内で使われる方言で、人吉球磨地方でもよく使われます。
“よか”に”ばい”と”たい”をくっつけてみるとこうなります。
- よかばい / 意味:いいよ
- よかたい / 意味:いいよね
それぞれの意味を確認していきます。
よかばい
“よかばい”は、熊本弁の代表とも言えるほど有名な方言です。
“よかばい”の意味は、「いいよ」で、色んな場面で使える便利な言葉です。
“よかばい”について、もっと詳しく知りたい方は、下のリンクからご覧いただけます。
よかたい
“よかたい”の意味は、「いいよね」です。
“よかたい”は、使い方によって次の2つ意味があります。
- あなたは、いいよね(妬み)
- まだ、マシだよ(なぐさめ)
あなたは、いいよね(妬み)
まず、一つは、”よかたい”の前に「あなたは」をつける使い方です。
そうすると、”あんたはよかたい”になり、「あなたはいいよね」という妬みの意味になります。
まだ、マシだよ(なぐさめ)
もう一つは、”よかたい”の前に「あなたは」をつけない使い方です。
例えば、「ガラポン抽選会の参加賞、10円ガム1個らしいよ」と言われて、”なんかもらえるだけでもよかたい”ということができます。
意味は、「何かもらえるだけでもいいじゃん」というなぐさめの意味になります。
これは、過去のことにも使うことができて、「ガラポン抽選会ハズレだった…」と言われたときに、”ガムもらえたんならよかったたい”と言えます。
意味は、”ガムもらえたのなら、よかったじゃん”になります。

“よかばい”と”よかたい”を比較しても分かるように、”ばい”と”たい”は似ているようで、意外と違っていたりします。
“よかばい”が使われるLINEスタンプ
動くきじうま 超人吉球磨弁(熊本県)

“行く”をくっつける
次は、”ばい”と”たい”に「行く」をくっつけてみましょう。
名詞、形容詞、動詞でいうと「動詞」にあたります。
- 行くばい / 意味:行くよ
- 行くたい / 意味:行くといいよ
行くばい
“行くばい”は、「行くよ」という意味です。
例えば、誰かと一緒にお出かけするときに、準備に時間がかかっていたら、”おいていくばい”と言うことができます。
意味は、「置いていくよ」です。
行くたい
“行くたい”の意味は「行くといいよ」です。
もっと自然な言い方として、”行ってくったい”があります。
“行くたい”と同じような意味で、「行ってくるといいよ」です。
迷っている相手に対して、アドバイスするような言い回しですね。
“行くばい”が使われるLINEスタンプ
厳選!超人吉球磨弁(はんこバージョン)

“雨”をくっつける
最後にもう一つ、「雨」にくっつけてみましょう。
名詞、形容詞、動詞でいうと「名詞」にあたります。
- 雨ばい / 意味:雨だよ。
- 雨たい / 意味:雨だよ。雨でしょ。
雨ばい
“雨ばい”は、「雨だよ」という意味です。
例えば、「明日の天気は?」と聞かれて、”雨ばい”と答えることができます。
明日の天気を聞かれなくても、「明日雨ばい」と言うこともできます。
雨たい
“雨たい”も、「雨だよ、雨でしょ」という意味です。
“雨ばい”と同じような意味ですが、「明日の天気は?」と聞かれて、”雨たい”というとちょっと怒って聞こえるかもしれません。
というのも、この”たい”には「あなた知ってるでしょ?/あたり前だよ」みたいなニュアンスが入っているからです。
例えば明日の天気を聞かれて、”雨たい”を使うまでの流れを想像すると、こんな感じです。
- 明日の天気は?
- あめ
- ん?なんて?
- あめ
- さめ?
- 雨たい!
「雨」という言葉が聞き取れなくて、”雨たい”になりました。
怒ってない”雨たい”
先ほどは、怒ったように聞こえる”雨たい”をご紹介しましたが、怒ってない”雨たい”もありますよ。
例えばこういう時には、怒ってません。
- 虹って「ある天気」の後にしか出ないんだよ。何か分かる?
- ううん。
- 雨たい。
これは、ドヤ顔で話すときに使う”雨たい”です。
このように、ドヤ顔で話したりしている時には、怒っているニュアンスはありません。
“雨たい”は自分発信できない
“雨ばい”は、誰から何を言われなくても、”明日は雨ばい”と言うことができました。
しかし、”雨たい”は、自分から”明日は雨たい”と言うと、少し違和感がある気がします。
話の中で”雨たい”が出てくる分には、違和感はないのですが…。なんだか不思議です。
“ばい”が出てくるマンガ描いてます。気になった方は、下のリンクからぜひ。
結局「ばい」と「たい」の違いは?
具体例をズラズラと書いてみたら、いろいろ見えてくるものがありました。
とりあえず、いったん整理します。
“ばい”をつけても、標準語の意味とそこまで違う印象はありませんでした。
しかし、”たい”をつけるとこんなことがおきました。
- 妬みが出た
- なんか怒ってるときがある
- 他の人との会話の中でしか使えない
特徴をあえてまとめるなら、次のようになります。
- “ばい”は、どんな状況でも使える
- “たい”は、相手ありきで使える言葉
相手との会話の中で、「~だよ」と言いたい時には、”たい”を使えるかもしれませんが、使い方によっては、怒ってるように聞こえたり、相手を妬んだりしているように聞こえることがあります。
使い方に迷ったら、”ばい”を使っておくことをおすすめします。
まとめ
この記事では、”ばい”と”たい”の意味や使い方、使い分けについてご紹介しました。
今回ご紹介した違いが正解とは限りませんが、私なりの考えをまとめてみました。
“ばい”と”たい”の使い分けに苦労されている方の、少しでも参考になれば幸いです。
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