日常会話をしていて、特に相手に同意する場面で、”じゃっ”という方言を聞いたりします。
人吉球磨弁には、”じゃっ”というものがあります。
今回は、人吉球磨弁”じゃっ”について意味や使い方を見ていきます。
“じゃっ”の意味
“じゃっ”の意味は「そう」という意味になります。
相手の意見に賛成したりするときに使います。
この”じゃっ”は、”じゃる”ともいいます。
恐らく”じゃる”が訛って、”じゃっ”になったんじゃないかと思ってます。
もちろん”じゃる”を使っても大丈夫ですが、使われる頻度は”じゃっ”の方が多いです。
ただ、”じゃっ”単体で使うことはあまりなく、何かしらをおまけをつけて使うことが多いです。
よく使われる形
“じゃっ”を使われる形としては、次のようなものがあります。
結構たくさんありますね…
では、一つずつみていきます。
方言 | 意味 |
---|---|
じゃっじゃっ/じゃるじゃる | そうそう(軽い) |
じゃっとて/じゃっつて | そうなんだよ(軽い) |
じゃっとたい/じゃっつたい | そうなんだよ(強い肯定) |
じゃいよ/じゃーいよっ | そうよ(強い肯定) |
じゃんもんね/じゃんもんな | そうだよね(優しい) |
じゃろねー/じゃっどなー | そうだろうね |
じゃっじゃっ/じゃるじゃる
“じゃっじゃっ”も”じゃるじゃる”も同じ意味で、「そうそう」という意味になります。
大抵軽い感じで「そうそう」と言いたいときに使います。
例えば、こんな感じで使います。
ここでは、現在形として”じゃっじゃっ”を使っていますが、「そうだったそうだった」というように過去形で使いたい場合には、“じゃったじゃった”ということもできます。
ただ、”じゃるじゃる”を過去形で使うことはしないので、注意してください。
じゃっとて/じゃっつて
“じゃっとて”が訛ったものが、”じゃっつて”になります。
どちらも同じ意味で、「そうなんだよ」という意味になります。
大抵軽い感じで使われます。
例えば、こんな感じで使います。
“じゃっとて”や”じゃっつて”は、会話の途中に使われることが多いです。
なので、”じゃっとて”で会話が終わることはなくて、大抵その後に会話が続いていきます。
じゃっとたい/じゃっつたい
“じゃっとたい”が訛ったものが、”じゃっつたい”になります。
どちらも同じ意味で、「そうなんだよ」という意味になります。
“じゃっとて”や”じゃっつて”と意味が似ていますが、それらより強い肯定になります。
「そうなんだよ!ちょっと聞いてよ!」みたいなニュアンスを含んでます。
若干怒ってたり、疲れてたり、言い方にもよりますが、感情が入ってる感じですね。
例えば、こんな感じで使います。
じゃいよ/じゃーいよっ
“じゃいよ”と”じゃーいよっ”は、どちらも「そうよ」いう意味になります。
“じゃっとたい”や”じゃっつたい”と同様に、強い肯定で、「もう、ほんとよ。プンプン」みたいなニュアンスが入ってます。
これも、若干怒ってます。
“じゃーいよっ”の方が、より強調している感じです。
例えば、”じゃいよ”はこんな感じで使います。
“じゃいよね”というと意味が変わる
“じゃいよ”に”ね”をつけると、「そうだよね」という意味になります。
“じゃいよ”は、単体では若干怒ってるんですが、”ね”をつけることで、怒ってる感じはなくなります。
ただ、これを使う時には、「ほんとはダメなことかもしれないけど、いいよね?」みたいなニュアンスがあります。
次にご紹介する”じゃんもんね”も「そうだよね」という意味になりますが、”じゃんもんね”にはある優しいニュアンスは、”じゃいよね”にはありません。
例えば、”じゃいよね”はこんな感じで使います。
じゃんもんね/じゃんもんな
“じゃんもんね”や”じゃんもんな”は、どちらも「そうだよね」という意味になります。
これは、「大変だよね」と言われてるような優しいニュアンスが入ってます。
例えば、こんな感じで使います。
ここで少し余談ですが、この会話で、”じゃっとたい”を使うと、「自分も腰が痛い」ことになって、大抵「私も腰が痛くてさ…」みたいな流れの会話になります。
他にも「そうだよね」と同じ意味でこんな言葉があります。
じゃろねー/じゃっどなー
“じゃろねー”と”じゃっどなー”は、どちらも「そうだろうね」という意味になります。
言い方にもよりますが、”じゃっどなー”の方が、”じゃろねー”よりも気持ちが入っている感じがします。
「ほんとそうだろうね」みたいな感じで。
例えば、こんな感じで使います。
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否定の形
これまで”じゃっ”は、相手に賛成したりするときに使うとお伝えしてきましたが、否定形を作ることもできます。
“じゃっ”を打ち消す形で、否定形を作ることができます。それが、”じゃなか“です。
意味は、「そうじゃない」になります。
“じゃなか”が訛って、”じゃんか“とも言ったりします。意味は、どちらも同じです。
例えば、こんな感じで使います。
これは、自分で自分にツッコミ(?)をしている状態で、頭の中でこうだと思ってたけど違った…みたいな場面です。
疑問の形
先ほど”じゃっ”で否定もできるとお話しましたが、疑問形にもできます。
このページの初めに”じゃっ”は”じゃる”が訛ったものというお話をしました。
疑問形になるときには、”じゃる”が変形して、”じゃろ?“になります。
「でしょ?」という意味になります。
例えば、こんな感じで使います。
敬語の形
“じゃっ”は敬語でも使うことができます。
“じゃっ”の敬語は、主に次の2つです。
意味は、どちらも「そうです(そうなんです)」という意味です。
敬語なしの時と同様に、”じゃっとですたい”は、”じゃっとです”よりも強い肯定になります。
“たい”が語尾につくと、強調される感じがしますね。
ここで、1つ注意点があります。
敬語なしの時に、”じゃっとたい”と同じ意味で、”じゃっつたい”があったと思いますが、”じゃっつですたい”とは言いません。
敬語になるときには、”じゃっとですたい”の方を使用してください。
まとめ
この記事では、”じゃっ”の意味や使い方についてご紹介しました。
今回かなりマニアックな内容になり、注意点も多かったと思います。
ただ、色んな活用ができる分、マスターしてしまえば、とても使いやすい言葉になります。
少しでもこの記事が参考になれば幸いです。
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※人吉球磨は令和2年7月に豪雨災害に見舞われました。 人吉球磨を少しでも元気にしたいという思いを込めて記事を作成しています。
コメント
母方が多良木出身で親戚は「じゃいよ」「じゃっど」と相槌を打っていました。鹿児島の友人は同様の相槌に「やっど」を使います。JとYの違いです。ユダヤ教は日本語ではユから発音しますが英語ではJudaizm(ジュディズム)です。イエスキリストも同様にイ(ユィ)から発音しますがjesus christ(ジーザスクライスト)です。
つまり多良木(球磨地方)と西洋で同じ意味の言葉がJ(じゃじじゅじぇじょ)の発音とY(やいゆえよ)に変化して使用されています。
JとYの言葉は口語で変化しやすい特性があるのかもしれません。面白いですね。